光速移動できる物件はけっこうある
この宇宙で、この世で最も早い速度と言われる
秒速29万9792km。
それを出せるのは「光」であり、
それは…
◆太陽光
◆ライト
~ぐらいかな…と思いがちですが
1) 電離放射線のうち電磁波
→ 電波・ガンマ線・X線
(ラジオや携帯電話も電波です)
2) 非電離放射線のうち
→ 紫外線・赤外線・マイクロ波
3) 重力波→(=重力による時空のゆがみ波動)
4) 可視光線→ 太陽・プリズム・照明
上記に挙げたものは全て光速、
つまり毎秒29万9792km/sで進みます。
●素粒子ニュートリノはわずかに劣りますが
毎秒29万kmに迫る速さです。
上述の「重力波」は聞きなれない言葉で、
しかも科学ゴコロをくすぐる単語ですが、
いつか別の記事で取り上げますので今回は聞き逃して下さい。
補足
音速(音の伝わる速さ)は0.34km/毎秒
超音速戦闘機の平均は0.68km/毎秒
世界一速い戦闘機Mig25は0.96km/毎秒
原子力電池搭載の探査衛星
ニューホライズンズは17km/毎秒
▲太陽系外惑星ウルティマ・トゥーレ付近の
ニューホライズンズ想像図
NASA / JHUAPL/SwRI 提供
太陽周回衛星
パーカーソーラープローブは
人類最高速の衛星、192km/毎秒
▲太陽軌道付近のParker Solar Plobe想像図
NASA / Johns Hopkins APL 提供
速く動けば動くほど重く振舞う
1905年、アインシュタインが精密な思考実験の末に
発表した特殊相対性理論。
E=mc^2
\)
\(
E=エネルギー\\
m=質量(=重さ)\\
c^2=光速の二乗\\
\)
エネルギーは、質量×光速の二乗に比例する…という意味です。
(あ、意味分からなくても大丈夫ですよ、
このまま気にせず読み進めて下さい)
ところで、エネルギーって何ですか?
物理学の世界で「エネルギー」は…
●静止した物体を動かす力
●仕事をする能力
~を指します。
科学者の話をすべて鵜呑みにするのは危険ですが
ことアインシュタインに関しては
以下の理由で最も信頼を置いています。
▼20歳ころのアインシュタイン
小鹿が彼を信頼する理由
◆彼の思考実験から出される解は常に的中していたこと
◆彼の理論のほとんどは、
数年後、多くの研究所による実験・観測で、
ことごとく確かな物理現象として立証されたこと
◆彼の数多くの行動の中で間違っていたのは
↓
●一時期「宇宙項」を記述したこと
●量子もつれを否定したこと
~の2点だけだった。
(その2点に関しては将来、別の記事で解説します。)
↓
~により、最もミス率の少ない、
信用に値する科学者である…と考えています。
よって、小鹿が書く記事は
アインシュタインはほぼ間違いを犯さなかった
~という前提のもとで進めています。
特殊相対性理論から導き出された
\(
E=mc^2
\)
エネルギー=質量×光速の2乗
更に上記の原理から…
↓
「運動中の物体は相対質量が増える」
↓
すなわち、高速で動く物体は重く振舞う…
という意味の公式を彼は発見しました。
①
\(
ma=\frac{mo}{\sqrt{1-\left( \frac{\upsilon^2}{c^2}\right)}\frac{1}{2}}
\)
*一番左 \(ma=運動中の質量\)…は、
\(V \)とする人も居ますが、
そこは何を入れても構いません。
ma=運動中の質量(=相対質量)\\
mo=元々の質量\\
\upsilon=物体の速度\\
c=光速\\
\)
ちなみに
\(
V=\frac{mo}{\sqrt{1-\beta^2}}
\)
~という式もありますが、それですと
値がかなり少なめに見積もられてしまうので
実際には①で示した、
ma=\frac{mo}{\sqrt{1-\left( \frac{\upsilon^2}{c^2}\right)}\frac{1}{2}}
\)
~のほうが正確と思われます。
数式が分かんなくても全然大丈夫ですよ(^ ^)
何の意味か分かればOKです。
上記の式が言いたいのは
エネルギーは質量(重量)に変化し
速度を上げるエネルギーは失われる
~という意味です。
もっと平たく言うと、
速度を上げれば重くなるよ…という意味です。
そして小鹿が上の式で計算しましたところ
以下の結果が出ました…
1tの車が…
↓
●秒速150,000km、つまり光速の半分に近づけば
車の重量は2.67tになり
●秒速200,000kmになれば
車重は3.60tになる
●秒速250,000kmだと
車重6.55tとなり、
●光速の90%である秒速270,000kmだと
車重は10.53tへ、
(ここで10倍になるんですね)
●光速の99%、秒速297.000kmですと、
車重は100.50tになります。
1tの車が100tになってしまいました
なんと重さが100倍になるんです、
…光を追い越すなんて無理ですね。
ただ、
↓
物体を光速近くまで加速して重量を計測、
~というところまで技術は進んでおらず、
まだその実験は実施されてません。
よって…
「本当に重量が増すのか?」という意見も一部あります。
ですので現時点では ”重くなったように振舞う” という意味で
「相対質量」と記述するのが正しいでしょう。
しかし、いつか光速近くで回るコマが開発され、
ハカリの上でそのコマを回して
重量カウンターが面白いように増えるのを
人類は目の当たりにするでしょう。
勢いをつけて光を照射する
人類が光速の半分の速度が出せる自動車を開発したとします。
すなわち毎秒150,000km/sの自動車です
この車が毎秒150,000km/sの速度で走りながら
光線ビーム(光子)を放ったとします。
光の速さは毎秒299,792km/sです、
そして実験に使う車は毎秒150,000km/sです。
150,000 + 299792= 449,792
…となるはずです。
さあ車によって勢いを付けられた光線は
449,792km/s になるでしょうか?
以下がアインシュタインが発見した速度の足し算です
(光速度不変の足し算)
V = \frac{ \upsilon1+\upsilon2} { \displaystyle 1+\frac{\upsilon1\times\upsilon2}{c^2}}
\)
\(
V=外から測った実際の光の速さ\\
\upsilon1=車の速度\\
\upsilon2=車から測った光の速さ\\
c=光速\\
\)
◆試しに計算してみます(^ ^)◆
(数字が嫌いな人は読み飛ばして下さいね)
\(
V = \frac{ \upsilon1+\upsilon2} { \displaystyle 1+\frac{\upsilon1\times\upsilon2}{c^2}}
\)
右の項にある分数の分母 \(c^2\) から始めます…
↓
\(c^2\) は光速の二乗、
光速の二乗は…
299,792×299,792=89,875,243,264
…とまず分母が出来ました。
そして真ん中の分子の部分 \(\upsilon1×\upsilon2\) は…
\(
\upsilon1=車の速度\\
\upsilon2=車から測った光の速さ\\
\)
150,000km/s × 299,792km/s = 44,968,800,000
これで下の分子と分母は
\(
{ \displaystyle 1+\frac{44,968,800,000}{89,875,243,264}} と出ました。
\)
最後に一番上の分子…\(\upsilon1+\upsilon2\) は,
150,000km/s + 299,792km/s=449,792km/s
これにより、
↓
\(
V = \frac{\displaystyle449,792} {\displaystyle 1+\frac{44,968,800,000}{89,875,243,264}}
\)
↓
\(
V = \frac{\displaystyle 449,792} {\displaystyle 1.5003469}
\)
↓
\(
V = 299,792km/s
\)
~光速の半分のスピードで走る車から放たれた光は
普段の光とまったく同じ速さでした。
(普段の光速=秒速299,792km/s)
あっと!
数式は分かんなくても全然OKです
(光速度不変の足し算)
人がどう光源を操作しようとも、
どの場所から光を測ろうとも
光の速度は変わらない。
結局光はいつも299,792km/sである。
…ということを知っておいて下さい。
月面を長い棒で叩く
光に勢いをつけてもダメなら、
今度は通信速度で光速を越えるチャレンジをします。
今回は「電波」に挑戦します。
冒頭でも述べましたが、電波は光と同じ速度です。
地球から月の表面までは、
平均384,400km、距離があります。
◆軽くて
◆堅くて
◆しならない素材
~で出来た長さ384,400kmの棒を、地球の固い地盤に設置し、
月に住む人々に通信してみます。
今回はトントンと叩くモールス信号みたいな
原始的な通信方法で連絡をとってみます。
直接月を叩くわけですね。
地球から月への平均距離は384,400km。
電波による通信なら1.3秒かかります。
*電波は光と同じ速度です。
この長さ384,400kmの棒の先は、
光よりずっと早く月を叩けるはずです。
では、棒の先が月に設置してある反応板を叩く…
という実験をしてみましょうヽ(。◕‿◕。)
「地球は自転してるから無理じゃん」
なんて細かいことは考えず、実験してみよう。
棒がすぐに月を叩けるように、
↓
棒のスキマは2cmとします。
そしてスイッチオン!
棒を月に向けて押します、
棒の先と月面のスキマは、わずか2cm。
これなら長さ384,400kmの棒の先は
0コンマ何秒で、月を叩いたはずです。
しかしどうでしょうか?
長さ10メーターほどの棒なら、
下から2cm突けば、一瞬で棒の先も2cm動きます、
「押せ押せ」反応する原子の移動距離も短いからです。
棒の中の原子拡大図▼
棒の中の原子移動を更に拡大した図▼
▲原子が「押せ押せ」の指示を棒の先に送っています
さあ、長さ38万kmの棒だとどうなるか?
「押せ押せ反応」をする棒の中の原子の動きが、
38万km向こうの棒の先に”順々に”到達するには
なんと1日半もかかってしまうのです。
棒の中の原子は「振動」によって、押せ押せ反応をし、
棒の先まで”押せ情報”を伝えます。
その振動伝達は「音波」によって行われます
音波は毎秒0.34km/sですから、
音速0.34km/s × 約38万km = 36時間
結局棒の先が月面の反応板を叩くのは36時間後になるのです。
月面の鈴を鳴らしてみよう
では月に大きな鈴を付けて長いヒモを垂れ、
鈴のヒモを地球から引っ張ってはどうか?。
神社にあるような大きな鈴ですね。
引っ張ったヒモの「引っ張れ指示」は
音速で月の鈴まで到達します。
さっきの長い棒と同じく
音速0.34km/s × 約38万km = 36時間
一日半かかってやっと鈴が鳴ります。
●物をつかむ
●物を投げる
などの筋組織を動かしているのは音波ですので
上の棒と同じようにわたし達の体は音速で動作しています。
いっぽう、脳の中では電波=光速が人間を動かしています。
▲脳内ニューロンのシナプス回路伝達は
電波によっておこなわれています。
現状、光速と並ぶことはおろか、
光速に迫る物体を作る技術も、
人類は開発できていません。
この記事の冒頭付近で示した太陽周回衛星、
パーカーソーラープローブの秒速192km/s
が人類が製作した最高に速い物体ですが、
それも太陽の重力を借りてのスピードなのです。
今回もお読みいただき、
ありがとう御座いました(^ ^)